トレーニング
トレーニング別おすすめウェアの選び方
どんなワークアウトも快適に、より集中して打ち込むためには、機能性に優れたウェアのサポートが欠かせません。トレーニングの質をさらに高めるウェアを選ぶには、どのようなポイントに注目すべきでしょうか。
adidasが提案する最新のトレーニングプログラムを展開する「adidas Training Academy」の石島佳代子トレーナーに、トレーニング別のウェアの選び方を聞きました。
ヨガウェアは身体のラインに沿ったフィット感と動きを邪魔しない伸縮性が重要
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まずヨガウェアについてお聞きします。ヨガに適したウェアを選ぶには、どのような機能性に着目すべきでしょうか?
- 石島さん
股関節や肩周りを大きく動かして、そのままポーズを保つことから考えると、身体へのフィット感と伸縮性に注目して、ウェアを選んだほうが動きやすいでしょう。
また、逆転や下向きのポーズの際に、ゆったりとしたパンツやトップスだと裾がめくれてしまい、脚やお腹が丸見えになったり、めくれたウェアで視界が遮られたりすることも。身体のラインにしっかりとフィットしたものなら、落ち着いてポーズに集中できるかと思います。
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トップスとボトムス、それぞれにおすすめのアイテムはありますか?
- 石島さん
トップスはバストやお腹周りにフィットしていて、窮屈さがないものがおすすめです。ボトムスは、伸縮性の高いレギンスが適しています。どちらにおいても、身体のラインにフィットしているものをおすすめしています。
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ウェアのフィット感と窮屈さは紙一重な部分もあるかと思います。ヨガウェアに関して、どのように見極めればよいのでしょうか?
- 石島さん
たとえばスポーツブラの場合、締め付けがキツいものだと、深く呼吸したときに胸郭が圧迫されて苦しくなってしまいます。アンダーの締め付けがキツくなくても、サポート力が高いものも展開されているので、そうしたアイテムを選ぶようにしていますね。
レギンスの場合、筋肉や膝をサポートする着圧タイプのものは、ヨガを行う際に着用すると、かえって動きに制限がかかってしまいます。膝や股関節などに圧がかからず、ソフトに履けるものがよいですね。
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ヨガには、ゆったりとした「陰ヨガ」や、呼吸に合わせて次々と動いていく「ヴィンヤサ」などさまざまなスタイルがあります。その種類によって、注目すべき機能も異なるのでしょうか?
- 石島さん
どのスタイルのヨガにも共通するポイントとしては、身体を動かしやすく、関節の可動域を制限せず、着心地がよいものが良いと言えます。それに加えて、ホットヨガやヴィンヤサは、汗をたくさんかくので、吸汗・速乾性も重視しましょう。陰ヨガやハタヨガなどリラックス系のヨガでは、肌触りがよく、ストレスのない着用感のウェアがおすすめです。
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新たに登場した「ヨガ スタジオ シーズナル レギンス」は、縫い目が少なくソフトで滑らかな履き心地で、ハイライズのウエストがさまざまな動きでカバー力を発揮します。このようなヨガ独特の動きをカバーするレギンスは、ニーズが高いといえるでしょうか?
- 石島さん
逆転や下向きのポーズの際にトップスの裾がめくれないように、レギンスの中に入れ込む方も多いですが、ローウエストだとうまく入らないこともあります。ハイライズのレギンスなら、お腹周りの心配をせずに集中できますし、トップスとの関係性もサポートしてくれるのではないでしょうか。
また、ヨガの場合、サポート力が強くて窮屈なものより、ソフトな履き心地のもののほうが、股関節を大きく動かしやすく、ダイナミックなポーズを取るときも違和感なく動けると思います。
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ヨガウェアは身体のラインに沿ったものが多く展開されていますが、中には「身体のラインが目立つのが恥ずかしい」「お腹を出すのに抵抗がある」などの声もあります。インストラクターの視点から見た、身体のラインが見えるウェアを着用するメリットを教えてください。
- 石島さん
そうした気持ちにもとても共感できます。ただ、身体のラインがしっかり見えたほうが、正しい姿勢がわかりやすくなるはず。たとえば両手を伸ばしたときに、袖口が広がっていたら、腕のラインをチェックすることができません。また、膝の向きなどは小さな微調節で大きく効果が変わることもあります。
身体のラインにタイトに沿っていたほうが「こう伸ばしたほうが気持ちいいですよ」とお伝えしやすいですし、ご自身でも動きの違いに気づきやすくなるかと思います。
動きやすさが第一ですが、マインドへの好影響もあるのではないでしょうか。普段は身体のラインが目立つような格好をしない方でも、スタジオで非日常的なウェアを楽しむことで、自分自身への自信や気分転換にもつながるはず。運動による体型変化にも気づきやすくなると思います。
ストレングス(筋トレ)トレーニング向けウェアは動きやすさと耐久性を重視
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次に、ストレングストレーニング向けのウェアについてお聞きします。ウェアはどのような機能性に注目して選ぶと良いのでしょうか?
- 石島さん
一番は動きやすさと、動きを邪魔しないフィット感です。特に、重たいウエイトを使うトレーニングを行う場合は、しっかりと身体をサポートしてフィットするウェアがおすすめです。
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新たに発売されたストレングストレーニング向けの商品には、耐久性をさらに高めた「CORDURA(コーデュラ)」素材を使用し、スクワットなどの際にズレにくい工夫や、筋トレ時の動きを妨げないデザインを採用しています。こうした機能があることで、トレーニングの質にも差は現れるのでしょうか?
- 石島さん
たとえば全身を使うフリーウエイトやデッドリフト、スクワットなどでは、耐久性の高さが重要なポイントになります。フォームが乱れにくいことで、よりトレーニングに集中できますし、しっかりとストレングストレーニングに取り組みたい方は、注目して選ぶとよいのではないでしょうか。
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バーベルやダンベルを担ぐことを考えると、トップスの伸縮性も重要になりますか?
- 石島さん
肩の後ろに器具を乗せる場合、肩周りを大きく動かすので、トップスに伸縮性がないと可動域に制限がかかり、運動効果が半減してしまいます。また、背中が開いたタンクトップなどを着たほうが、肩甲骨の動きもわかりやすく、トレーニングの質の向上にもつながるかと思います。
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ウィメンズではスポーツブラとレギンスが展開されています。トレーニングに特化したブラを付けることによるメリットは何でしょうか? また、レギンスにはどのような効果が期待できるのでしょうか?
- 石島さん
スポーツブラを着用することで、しっかりとバストをホールドしたまま、より集中してトレーニングに打ち込むことができます。また、レギンスは下半身をホールドしてくれるので、動きを安定させることができるでしょう。
たとえばスクワットの場合だと、股関節と膝を動かしながら「背骨がしっかり伸びているか」「膝の向きが正しい方向を向いているか」など、さまざまなポイントをチェックする必要があります。身体にフィットしたタイツを履いていれば、自分でもフォームがチェックしやすくなり、トレーナーも修正しやすくなります。
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2 in 1ショーツも展開されています。レギンスとパンツが一体化していることでのメリットを教えてください。
- 石島さん
タイツだけだとヒップや太もものラインが見えるのに抵抗を感じる方もいるかと思いますが、ハーフパンツが付いていることで、抵抗感なく履けるのではないでしょうか。また、脚を広げる動作などの際に、ハーフパンツだけだと中が見えないか心配になりますが、タイツが備わっていることで安心してトレーニングに臨めるかと思います。
HIITワークアウトは大量の汗に対応する「速乾性」を最優先に
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最後に「HIIT(ヒート)ワークアウト」向けのウェアについてうかがいます。そもそも、HIITワークアウトとはどのようなトレーニングになるのでしょうか?
- 石島さん
HIITとは「High-Intensity Interval Traing(高負荷インターバルトレーニング)」の略で、短時間で高強度の運動とインターバルを繰り返すエクササイズです。たとえばスクワットジャンプやプッシュアップなどを数十秒間続けたのちにインターバルを挟む、というセットを複数回繰り返すことで、有酸素運動よりも高い脂肪燃焼効果が得られます。
また、一気に追い込むことで代謝も上がり、運動後もカロリーを燃焼しやすい状態になります。ジャンプ系の動きが多いので、心肺機能の向上にもつながり、さまざまな運動に活用できるトレーニングです。
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HIITワークアウト用のウェアを選ぶ際のポイントを教えてください。
- 石島さん
最優先すべきポイントは、速乾性に優れていること。汗を大量にかきながら、何度も同じ動きを繰り返すため、ウェアが濡れたままだと動きにくくなってしまいます。もう一つは、サポート性。ハイスピードかつダイナミックな動きが多いので、よりタイトにフィットしたウェアのほうが、抵抗を減らして俊敏な動きをしやすくなります。
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どのようなデザインのウェアがおすすめでしょうか?
- 石島さん
ランニング以上に腕を大きく動かすため、個人的にはタンクトップがおすすめです。ボトムスは、ハーフパンツにタイツがついたタイプやハーフタイツが、早い動きにも対応しやすいでしょう。また、上下左右など多方向に動くことが多いので、なるべく軽い素材のものがおすすめです。
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ウェアに搭載されたHEAT.RDY&AEROREADYテクノロジーは、汗を素早く吸収するなど、衣服内の環境を快適にしてくれる機能です。HIITではそのような機能が搭載されたウェアが役に立つでしょうか?
- 石島さん
HIITでは大量の汗をかきますが、そのまま動くと汗が冷えてしまい、運動後に冷えたままだと無駄なエネルギーを消耗してしまいます。汗でウェアが濡れると動きにくくなりますし、集中力も欠いてしまいます。吸汗速乾性に優れたウェアを着ることで、気持ちよくトレーニングに臨めるのではないでしょうか。
(取材&執筆:荘司結有 編集:ノオト)
<取材対象者プロフィール:adidasGYM&RUN 教育トレーナー 石島佳代子さん>
-PaddlerJapan®︎認定SUPYOGA/fitインストラクター-
-PTIフィジカル認定トレーナー-
-エンコンパストレーナー-
-心療ヨガ®︎インストラクター-
-日本ライフセービング協会BLSアシスタント指導員-
運動指導歴15年
運動を通して心も身体も豊かにアクティブに自分らしく過ごせる事を大切にしている。
大手フィットネス企業で約11年間、インストラクターやトレーナー活動、クラブ運営や育成などに携わり独立。
現在は都内、神奈川、千葉でヨガやフィットネスやSUPYOGA/fitインストラクター、ランニングコーチ、パーソナルトレーナー、心療ヨガ®︎施術、専門学校講師など多岐に渡り活動中。
また自然と触れ合い身体を動かす事が何より健康に笑顔になれると感じ、日本各地の海や山などのアウトドアをフィールドにしたSUPYOGAやビーチヨガ、トレッキングリトリートやランニングイベントなど自然と楽しめる活動に力を入れている。