L1120258.jpg

青山学院大学 原晋監督インタビュー「挑戦を楽しむのが青山学院大学のスタイル」

2015年に当時の大会記録を更新する10時間49分27秒というタイムで箱根を初めて制した青山学院大学。2019年に惜しくも2位になったことで箱根の連覇は4でストップしましたが、2020年に原晋監督が“やっぱり大作戦”を掲げて王座を奪還。次の箱根では再び連覇を目指します。

「前々回の箱根を勝てなかった要因は、勝ち続けることでチャレンジする姿勢が失われてしまったこと。連覇を続けたことで優勝メソッドを確立することができた一方で、少しそれに頼り過ぎてしまった部分があったかなと。優勝を続ける中でも常に新しいことにチャレンジしていかなければ、追いかけてくるチームとの差は縮まってしまうということでしょう。改めて基本の徹底をしながら、練習の仕掛けを進化させたことで、前回は勝つことができました。箱根駅伝というコンテンツはアマチュアスポーツの中でも最高峰といえるもの。そこで勝つために各大学がいろいろなことを必死に研究しています。勝ち続けるというのは一筋縄でいくことではありません」

近年、箱根の注目度のさらなる高まりと、大学駅伝シーンの急速なレベルアップを感じていると原監督は言います。

「私は監督就任時から、大学駅伝を明るく、楽しい、もっともっと魅力あるコンテンツにしていきたいという大きな目標を掲げてきました。箱根駅伝で青山学院大学の選手たちが活躍し、さまざまな媒体に露出してきたことが、大学駅伝全体にプラスの効果があったのではないかと思っています。箱根駅伝の注目度が増し、各大学がしのぎを削ることで、全体のレベルは間違いなく上がっています。2015年の箱根駅伝を10時間49分27秒というタイムで優勝したとき、このタイムは10年破れないんじゃないかと思ったのですが、前回の箱根を優勝したときのタイムは10時間45分23秒でした。少し前まで箱根の2区なら1時間8分を切れば好タイムと言われていましたが、前回の箱根駅伝では1時間5分57秒という区間新記録が生まれました。前々回、4区で生まれた区間記録はしばらく破れないかと思っていたら、うちの吉田祐也がすぐに更新してしまいました。6区は59分台で走れれば良いとされていたのが、前回大会では2名の選手が57分台で走っています。レベルアップも5年、10年という尺ではなく、2年、3年というスパンで起きている感じがありますね。箱根駅伝も近い将来、優勝タイムが10時間40分を切るなんてこともあるのではないでしょうか」

  • L1120220.jpg

大学駅伝が魅力的なコンテンツであるからこその、選手たちの成長。その進化は加速度的なスピードで続くのではないかと原監督は予想します。

「ひと昔前だったらサッカーや野球を選んでいたような身体能力に優れた選手が、陸上界に入ってきてくれている印象を受けます。彼らの目には、大学駅伝が魅力的に映ったのだと思います。個性を大切にする世の中になってきたこともあり、走力に優れた子たちが球技よりも走ることに適性を感じたとき、陸上を選びやすくなっているということもあるのでしょう。今年の全日本大学駅伝では、うちの佐藤一世を含めて3人の1年生が区間新記録で区間賞を獲得しました。今の4年生世代も凄い世代と言われていましたが、今年の1年生もスケールの大きい選手が多いなと感じています。各大学のメソッドもまだまだ進化していくでしょうし、シューズなどのテクノロジーも進化するのでしょうから、スケールの大きな選手たちが育っていけば飛躍的なレベルアップだって考えられます」

たとえ優勝への道がより困難なものになったとしても、大学駅伝シーン全体の進歩は原監督にとってとても喜ばしいこと。

「他大学を含めて大学駅伝のレベルが上がることについては、とてもポジティブに捉えています。レベルが上がることで、より盛り上がり、社会的認知、社会的評価も上がっていくでしょう。そうすれば陸上界全体に好影響があります。大学駅伝を魅力あるコンテンツにし、陸上界を盛り上げるというのが私の目標ですから、レベルアップは大歓迎ですよ」

今以上に各大学がそれぞれのカラーを表現して文化を作り、メソッドの違いで争って、進化をしていく。それが大学駅伝シーンの理想の姿。青山学院大学もチャレンジをやめず、新しいアプローチをしていきたいそうです。

「従来とはまったく違うやり方で駅伝を勝つ大学が出てきたら面白いですよね。狙う頂は同じでも、登り方はいろいろあっていいんです。それぞれがオリジナルの文化を作って、それを認め合いながら競っていくのがいいじゃないですか。みんなが同じ道を行ったら面白くないですよね。残念ながら2021年2月の大会はないのですが、これからは2月の別大マラソンや、12月の福岡国際マラソンで学生の頃から活躍できるようなスタイルを作っていきたいと思っています。最近の選手たちにはそれぐらいの力があると感じていますし、やはり日本人が長距離で世界と勝負できるとしたらマラソンですから。別大マラソンで青学の選手たちが10人ぐらいの第一集団を作る、これは面白い絵ですよ」

  • L1120263.jpg

2021年の箱根は5強の争いになるだろうと、原監督は予想しています。

「どこの大学にもトラブルによる大ブレーキが起きないことを前提にするならば、全日本大学駅伝の結果を受けて現在5強と言われている大学の争いになるのではないかと思います。往路は5強に加えて、いくつかの大学も絡んでくるでしょう。5区、6区の特殊区間で整理されて、復路は力のあるチームが残っていく。今回は9区、10区までもつれて、3〜4チームが最後まで競っている可能性があるでしょうから、観ている側はとても面白い大会になりますよ!」

大学駅伝特集を見るiconArrowLeft

取材対象者プロフィール:
原晋 監督
1967年生まれ、広島県出身。
名門広島県立世羅高等学校3年生時に、主将として全国高校駅伝競走に出場し2位。中京大学に進学し、3年時に日本インカレ5000メートル3位。
1989年、中国電力に入社。1993年には陸上部主将として全日本実業団駅伝初出場を果たすが、故障が原因で入社5年目の27歳で選手生活を引退、その後は10年間中国電力でサラリーマン生活を送り、営業で好成績を残し伝説の営業マンと言われた。
36歳のとき中国電力を退職し、青山学院大学・陸上競技部監督に就任。2009年に33年ぶりに箱根駅伝への出場を果たす。
第91回箱根駅伝(2015年1月)に、青山学院大学として史上初の往復路・総合優勝を果たして以降、学生三大駅伝で、箱根駅伝4連覇を含む10度の優勝に導いている。
青山学院大学地球社会共生学部教授、GMOアスリーツ・アドバイザー、埼玉医科大学・客員教授、スポーツ産業化推進議員連盟アドバイザリーボード

(取材&執筆:神津文人)

  • TOP
  • ランニング
  • 青山学院大学 原晋監督インタビュー「挑戦を楽しむのが青山学院大学のスタイル」
会員登録すると
10%OFFクーポンプレゼント
iconCross