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歩いてダイエットは難しい?トレーナー中野ジェームズ修一さんに教わるウォーキングの基本

健康や美容のために、生活の中にウォーキングを取り入れたいと考える人が増えています。特に体を動かす習慣のなかった人にとってウォーキングは、手軽そうなイメージがあり魅力的に感じるかもしれません。必要な道具を揃える必要や、場所にとらわれることがないウォーキングですが、ダイエットへの効果はどれくらいあるのでしょうか。

adidas契約アドバイザーの中野ジェームズ修一さんが、ウォーキングでダイエットをしたい人がやるべきことや、リスクなどを解説します。

ウォーキングでダイエットをするために必要なことは?

街中でウォーキングをしている人を見かけることが増えました。その多くは女性で、キビキビと歩く姿に憧れます。しかし実際のところ、ダイエットへの効果はどれくらいあるのでしょうか。これらか運動を始めるにあたって、ウォーキングをするか他の種目にするかを検討中の人にぜひ知っておいていただきたい情報を中野さんにお話しいただきました。

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Q 単刀直入ですが、ウォーキングでダイエットをすることは可能ですか?
「可能か不可能かでいうと、可能です。しかしウォーキングでのダイエットは、想像よりも遥かに難しい挑戦です。ランニングやジョギングに比べてダイエット効率が著しく低いので、健康な方ならジョギングをお勧めします 」

Q ウォーキングのダイエット効率が低いのは、何故でしょうか?
「理由をご説明するために、まずは基本的な脂肪燃焼の考え方をお伝えさせていただきます。脂肪燃焼に適切な心拍数は、最大心拍数に対して60%から80%程度とされています。これをファットバーニングゾーンと呼んでいます。このゾーンよりも低すぎてしまっても消費カロリーが少ないし、高すぎても糖質の消費がメインになってしまうので、自分でこの強度を維持しなければなりません。
運動がどれほどキツいか、自分の感覚で表した尺度をRPE(主観的運動強度)といいますが、“ややキツい”くらいの感覚で走ると60%程度の心拍数まで上がるとされています。しかしキツさの感覚は人によって様々。キツい運動に慣れていないと、40%くらいの心拍数でも“ややキツい”、人によっては“もう限界!”とおっしゃる方もいます。
ですから心拍計などを活用し強度の管理できる人なら、ウォーキングでも効果を得られるでしょう。個人差はありますが、ウォーキングでファットバーニングゾーンに入るには、時速7キロ程度の速度が必要になります。時速7キロで歩き続けるとかなり疲れるので、ジョギングをしてしまった方が、楽に感じるかもしれません」

Q 一見、楽な運動に見えるウォーキングでも、ダイエット効果を出すための負荷を生み出すのは難しいのですね。
「その通りです。ジョギングなら地面に着地したときに骨や筋肉にインパクトが生まれますから、筋力アップや骨粗しょう症予防にもつながります。ウォーキングではそのメリットも効果的ではないので、もったいないんですよね」

Q 逆にウォーキングを活用したダイエットが向いている人はどのような人ですか?
「股関節や膝関節などに問題があり、ジョギングが難しい人はスポーツとしてのウォーキングを目指すといいでしょう。スポーツとしてのウォーキングとは先ほども申し上げた、時速7キロ程度を目安に、RPEが「ややきつい」に相当することを意識してキビキビ歩きます。気まぐれで一駅ぶん歩いたり、早歩きでウィンドウショッピングをする、といったような歩き方では効率がよくありません」

Q ウォーキングでのダイエットに必要な時間と距離を教えてください。
ジョギングやランニングの場合は距離を尺度とすることが多いですが、ウォーキングの場合は歩いた時間を尺度とします。ウォーキングで700kcalを落とすためなら、目安として3~4時間くらい必要になってしまいます。もちろんこの間、時速7キロで歩き続けなくてはなりません。しかしジョギングなら1~2時間程度ですみます。
少し話はそれますが、脂肪を燃焼させるためには20分以上運動をしなくてはならないという話がありますよね。実際のところそのようなエビデンスはないので、短時間の運動でも燃焼は開始されます。しかしウォーキングの場合はその効率が著しく低いので、ダイエットをしたいなら週に3~4時間くらいの運動が最低限必要になります。
まずは運動習慣をつけて健康な体を目指したいという場合は、1週間に150分以上を目標にしてみてください」

Q ダイエット目的でウォーキングをするのに適した時間帯はありますか?
「ダイエット効率が上がる時間帯は特にありません。トップアスリートが行うようなトレーニングにおいては、16~18時が最も適しているとされていますが、それは極限状態まで追い込む場合に限ります。
ライフスタイルに取り入れる運動としては、生活パターンの中で習慣化できる時間を見つけることが大切です。例えば朝ごはんを食べた後や、仕事から帰ってきて部屋着に着替える前など、ルーティーン化しやすいタイミングを探ってみてください。
ただ、夜遅い時間や寝る直前の運動はあまりおすすめしていません。運動をすると交感神経が優位になり、入眠しづらくなってしまうことがあります。悪影響が出ない体質の方もいらっしゃるので、個人差はありますが、どうしても夜しか時間が作れない場合は、一度お試しいただいて改善していくのがいいと思います」

Q ダイエットに成功しても、数ヶ月でリバウンドしてしまった経験があります。リバウンドを防ぐコツはありますか?
「脂肪を燃やしやすい体づくりができていないことが原因だと考えられます。ウォーキングでは体脂肪を燃やすことができますが、筋肉量を効率よく増やすことはできません。ランニングやジョギングであればある程度の筋肉がつきますから、やめた後も体型を維持しやすいんですよ。もしウォーキングでダイエットをするなら、筋トレも組み合わせると最低限の筋肉量を担保できます。ウォーキングだけを2時間やるよりも、1時間をウォーキング、1時間を筋トレに充てた方が最終的に効率よく痩せるでしょう」

Q ウォーキングダイエットをする際に食事で気をつけることはありますか?
「食事はお茶碗1杯分のご飯を3食食べることです。一時期、糖質制限が流行していましたが、ご飯をしっかり食べていただいた方が脂肪を燃焼しやすい体になります。
ご飯の量は、可能であれば朝に一番多く、昼に中程度、夜に少なめといったように、逆三角形のピラミット状に減らしてください。日本の食生活は、夕飯が一番多いピラミッドになってしまいがちですが、活動量の多い日中に多くのエネルギーを摂取したほうが、脂肪として蓄積されづらくなります。
しかし夜ご飯が少ないと寝る前にお腹が減ってしまいますよね。空腹を感じると、脳がエネルギーを摂取するよう命令を出すため、寝つきが悪くなってしまいます。逆に満腹になると眠たくなりますよね。
初めのうちは、朝に中程度、昼に多め、夜に中程度といったように、ダイヤモンド型の配分から始めると、無理なく続けられるでしょう」

▼食事についての詳しい記事をチェックする
https://shop.adidas.jp/running/arblog/article/2019082802/

ウォーキングを安全に行うためには?

日頃から体を動かす習慣のなかった人は、慣れない運動で怪我をするリスクがあります。歩いているうちに腰や膝を痛めてしまった経験のある人もいるかもしれません。ここではウォーキングを安全に行うためのトレーニングなどについて解説します。

Q ウォーキング中に膝や腰を痛めてしまった経験がありますが、なぜでしょう?
「体重を支えるための筋肉が足りていない可能性が高いです。ウォーキングの動作はとてもシンプルであるが故に、運動量に対して筋肉が付きにくいのです。筋肉が少ない状態で同じ関節の動作を長時間繰り返すと、負担がかかって怪我につながってしまいます。
腰が痛くなる人は、骨盤を支えるお尻の筋肉である臀筋が不足している可能性があります。骨盤がグラグラ動いてしまい腰椎を痛める原因となります。高齢の方でもウォーキングを趣味で続けていらっしゃる方が多くいますが、筋肉が衰えがちな年代の方々にとっては、実は危険を伴う習慣なのです」

Q 正しく筋肉をつけるにはどうしたらいいでしょうか
「筋トレを取り入れること、そして筋肉のつきやすい歩き方をマスターすることです。歩き方のポイントは着地の時。膝を少し曲げ、前足の筋肉で体重を受け止めましょう。階段を一つずつ登ったり、山をグッグっと踏み込んで登るイメージです」※以下動画参照

Q ウォーキングと併せて実施すべき筋トレメニューを教えてください。
「怪我防止につながる筋肉トレーニングを1つご紹介します。ベンチに腰掛けた状態から、体を前傾させ、足腰の筋肉を使って身体を持ち上げ、斜めに伸び上がる動作です。スクワットに似ていますが、より歩く動作に近い体勢を作ることで、ウォーキングに必要な筋肉を集中的にトレーニングすることができます。

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▲スタートポジションは片足を90°に、もう片足を座面の下にセットする。

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▲上半身を前傾させ、前足に体重をかける。前に出した足の腿裏の筋肉を意識する。

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▲前に伸び上がるように立ち上がる。ここで腰の筋肉を意識する。

「右左それぞれ20回ずつを3セット繰り返してください。これらの筋肉がつくことで脂肪が燃焼しやすくなるのでダイエット効果も見込めるでしょう」

ウォーキングをはじめる前に、揃えたいアイテムは?

Q ウォーキングを始める上で、シューズ選びのコツはありますか?
「ウォーキング用のシューズとして売られているものが存在しますが、ランニング・ジョギング用のシューズがおすすめです。ジョギングシューズはクッション性が優れているものが多いですから、体重による衝撃から足を守ってくれます。それにジョギングシューズはファッション性が高いものが多いですから、モチベーションにもつながりますよね」

▼ランニング・ジョギングシューズ選びのポイントを詳しく見る
https://shop.adidas.jp/running/arblog/article/2020012201/

▼クッション性に優れたランニング・ジョギングシューズを見る
https://shop.adidas.jp/item/?sport=running&category=footwear&order=1&brand=performance

Q 他にもあると便利なウォーキンググッズはありますか。
「スポーツ用のタイツがおすすめです。長ズボンはシャカシャカして動きづらいので、長時間の運動には適していません。タイツは春夏用と秋冬用のタイツをそれぞれ用意しておくと体温調節がしやすいですよ。
夏はキャップとサングラスも欠かせません。読者の皆さんも、紫外線を直に受けて疲れを感じた経験がありますよね。特に目は剥き出しの臓器ですから、紫外線を受けることでビタミンCが奪われ、疲労につながると言われています。
ウォーキングは激しい運動ではありませんから、ファッション感覚で気分のあがるアイテムを揃え、楽しんでいただくのがいいと思います」

▼スポーツタイツ一覧を見る
https://shop.adidas.jp/item/?category=wear&order=1&group=bottoms&type=tights&brand=performance

▼ランニングアクセサリー一覧を見る
https://shop.adidas.jp/item/?order=1&category=accessories&sport=running

ウォーキングでダイエットに挑戦するなら、強度の管理をしっかり

この記事では、ウォーキングでダイエットをすることの難しさや、実際に取り組む際のコツを解説しました。ウォーキングに魅力を感じたなら、アプリや心拍計を活用して、ダイエットに適した強度を維持できる準備を整えましょう。より効率を重視するなら、筋トレ他、ランニングやジョギングも併せて検討してみるのが良さそう。
新しい一歩を踏み出す準備は整いました。さあ、ウォーキングダイエットに挑戦しよう。

取材対象者プロフィール:中野ジェームズ修一さん
スポーツモチベーション最高技術責任者
米国スポーツ医学会認定運動生理学士
PTI認定プロフェッショナルフィジカルトレーナー
フィジカルを強化することで競技力向上や怪我予防、ロコモ・生活習慣病対策などを実現する「フィジカルトレーナー」の第一人者。2014年からは、青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導も担当。早くから「モチベーション」の大切さに着目し、日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナーとしても活躍を続けている。自身が技術責任者を務める東京神楽坂の会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB 100」は、「楽しく継続できる運動指導と高いホスピタリティ」が評価され活況を呈している。

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