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明治大学 前田舜平選手インタビュー「6区の山下りを前回よりも速く駆け抜けたい」

今年1月、前田舜平選手は自身2度目となる箱根6区を走りました。2年生のときに初めて走った6区では、59分41秒で区間8位。それを上回るタイムと順位で紫紺の襷を繋ぐのが目標だったという前田選手は、1度目の山下りよりも大きくタイムを縮め58分48秒で20.8kmを走り切りました。

「今年の箱根駅伝では、前回走ったときよりも1分程度速く走れたらなと思っていました。ですから、タイムは大体予定通りだったんですけど、想像していたよりも全体のレベルが高くて。襷を繋いだときは区間5位以内に入れたんじゃないかなと思ったんですけど、結果は7位でした。区間順位が5位以内ではなかったことが少し残念でしたね」

2020年の6区は2人の選手が区間記録を更新。非常にハイレベルな高速レースでした。6区は下りが続く特殊な区間ですが、1度走っていた分、落ち着いて走ることができたそうです。

「初めてのときは、どう走ればいいかわからなかったので、戸惑いながら走っていた部分がありました。2度目は1度目の経験があったので、ある程度走り方を頭の中でイメージできて、1度目よりは上手く走れたかなと思います」

最終学年となり、前田選手は今シーズンをキャプテンとして迎えました。

「チームの目標は年初に話し合いでき決めて、全日本大学駅伝のシード権獲得と、箱根駅伝の5位以内を目指すことになりました。個人的な目標はトラックでのベストの更新。具体的には5000mで13分台、10000mで28分台を目指し、それから箱根駅伝では6区を走ってさらにタイムを伸ばすことを目標としました」

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箱根でのさらなる躍進を目指した新シーズンは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、春のトラックシーズンはレースがまったくないという状況に。緊急事態宣言時には一度チームも解散し、個人で練習をしていたそうです。

「最終学年の年にトラックシーズンの試合がなくなってしまったのは非常に残念なことではあるのですが、そこを気にしていても仕方がないなと。条件はどこも同じですからね。駅伝があることを念頭に置いて、むしろ駅伝シーズンに向けての練習期間が長くなったと捉えて過ごしていました。緊急事態宣言が出て、すぐに切り替えるというのは正直できませんでしたが、どうにかできるものでもありません。個人練習の期間は、できることが限られているものの、その限られた中でしっかりやろうと。走るメニューをこなしながら、僕は補強トレーニングに重点を置いて、ブレない体幹を作ることを目指しました」

新型コロナウイルスの影響で、いくつものレースが中止となり、練習も例年通りには行かない難しい状況が続く中、キャプテンとしてどのようにチームをまとめていったのでしょうか。

「僕はとやかく言うのが好きじゃないですし、僕自身もミーティングなどで長い話を聞きたくないタイプです。行動で示した方がいいかなと思っているので、今年1年は練習で引っ張っていくと自分で決めていました。大体の練習を、半分ぐらいは前で引っ張っていたんですけど、僕の方針はそんな感じで。話したことといえば、自分たちでどうにかできないことを気にしていても仕方がない、駅伝があることを前提に練習していくしかない、ということぐらいですね」

出場を決めていた出雲駅伝は残念ながら中止になってしまいましたが、その代替レースとして開催された多摩川5大学対校長距離競技会と、トラックゲームズ in TOKOROZAWAでチームは好成績を収めます。前田選手も多摩川5大学対校長距離競技会に出場し、年初に掲げていた5000m13分台という目標を達成しました。

そして11月の全日本。上位8チームに与えられるシード権獲得を目指して挑んだ明治大学は、出場選手が存分に力を発揮し、見事3位に。

「チームとしての手応えを感じられる駅伝だったと思います。どこの区間も外すことがなく、みんなが持っている力を出せたので、そこは良かったかなと思います。ただ、爆発力のある選手がいないのが上位校との差なのかなとも感じました。エース力と言い換えてもいいのかもしれませんが、そこが足りない部分でした。ただ、目標として掲げていたシード権は獲得できましたし、3位という順位はチームの自信に繋がっています。それに、チームの状態の良さを見せられたんじゃないかと思います。僕個人としては、調子が上がらない状態が続いていて全日本大学駅伝を走ることができなかったので、箱根に向けてしっかりと調整していかなければいけません」

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全日本で3位となった明治大学は、箱根での上位進出が期待されています。チームとしての目標は5位以内。前田選手自身は3年連続で6区を走り、前回よりも良いタイムで、区間上位を狙いたいと言います。

「年初に掲げた箱根駅伝5位以内という目標は変わりません。もちろん上を目指さないということではなく、前回よりも進歩するという意味を込めての5位以内なので、狙えるところは狙って挑戦したいと思っています。全日本大学駅伝で3位になれたことは自信を持っていいと思うのですが、慢心してはいけません。調子が良いときほど失敗が起こりやすいものですから、気を引き締めるという意味でも5位以内という目標でいいのかなとも思います。6区にものすごいこだわりがあるというわけではないのですが、自分が一番向いているのがそこだろうという意識はあります。58分前後を目指して、前回より良い区間順位で走って襷を渡したいなと思っています」

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取材対象者プロフィール:
前田舜平 選手
1998年生まれ。明治大学 政治経済学部 4年
岡山私立倉敷高校から明治大学に進学。
高校3年時の全国高校駅伝で4区区間賞を獲得し、キャプテンとしてチームの全国制覇に大きく貢献。
大学では2年時の箱根駅伝6区区間8位。前回の箱根駅伝でも2年連続6区を走り区間7位と安定した強さを発揮。
今年はキャプテンとしてチームを引っ張り、最後の箱根駅伝でも快走を誓う

(取材&執筆:神津文人)

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