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青山学院大学 神林勇太選手インタビュー「自分がチームを勝たせなければいけない」

 「覚悟を決めて挑んだ」という今年1月の箱根が、自身の大きなターニングポイントになったと青山学院大学長距離ブロックのキャプテン、神林勇太選手は言います。

「2年生のときの箱根駅伝はメンバーには入れたのですが、レースを走ることはできず、チームは優勝を逃してしまいました。9区を走った同じ学年の吉田圭太が悔しそうにしているのを見て、走れなかったもどかしさと、悔しそうにしている選手たちのところに入っていけないことの悔しさをとても感じたんです。そのときに、次の箱根は絶対に走らなくてはいけないという覚悟ができました」

絶対に走ると決めた2020年の箱根。神林選手は念願の初出場を果たし、9区で区間賞を獲得。青山学院大学も見事に王座を奪還しました。

「ニュージーランドへ留学をして環境の変化があった中で、しっかりとトレーニングを積んで、出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝の3つを走ることができました。そして初めての箱根では自分の力を目一杯発揮することができました。その1年間の取り組みが自信になりましたし、箱根で区間賞の走りができたことがターニングポイントになって一段階ステップアップできたというか、力がついたなと感じています」

キャプテンとなって迎えた新シーズン。新型コロナウイルスの感染拡大があり、多くのレースが中止になるなど例年通りにはいかない状況でキャプテンの難しさを感じながらも、同時にチームの真面目さと強さも感じたそうです。

「キャプテンをやらせてもらう以上は、チームの核にならなければいけないと思っています。練習を引っ張るだけでなく、競技成績も出して、普段の行動も手本になるようにする。競技成績の部分は上手くいかないこともあるので不安がありましたが、今のところなんとかチームを引っ張ってこれたかなと思います。緊急事態宣言が出された頃は、やっぱりどうしたらいいのかがわからない状況で、全員で同じ方向を向くことの難しさを感じましたが、状況が少し落ち着いてからは、部員全員がやるべきことをしっかりとやってくれました。キャプテンとして特別なことをしなくてもいいチームというか、チームの真面目さに救われました。全員がやるべきことをやれるというのが、うちの強さの1つなのだと思います」

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春から夏にかけてのトラックシーズンは軒並みレースが中止になる中、ターゲットを駅伝に定め、キャプテンの目から見ても駅伝シーズンに活躍するという目標に向かってチーム全体で練習に取り組めたと言います。

「駅伝のために何ができるのか、今何が必要なのか。今までとはまったく状況が違うシーズンではありましたけど、全員がそれを理解して、それぞれが考えながら駅伝という目標に向かって取り組んでくれました」

神林選手自身、充実したトレーニングができているそう。

「前回の箱根駅伝が終わってからのこの1年間は、練習を引っ張っていくことができましたし、練習中のトライアルも今までより内容が良くなりましたし、安定感もでました。やはり箱根がターニングポイントになって、自分自身を取り戻せたように感じています」

そして迎えた駅伝シーズン。出雲は残念ながら中止となりましたが、全日本は無事に開催。青山学院大学は神林選手の区間賞の活躍もあって終盤で一時トップに立ったものの、4位に終わりました。

「出雲駅伝が中止になったときは、全日本大学駅伝や箱根駅伝の中止も頭をよぎったので、全日本大学駅伝が開催の方向に向かっているという話を聞いたときはほっとしました。駅伝三冠を今シーズンの目標の1つにしていたので、出雲駅伝が中止になったことはとても残念でしたが、だからこそしっかりと全日本大学駅伝を勝とうというムードでレースを迎えられたとも思います。全日本大学駅伝では、初めて大学駅伝を走るメンバーもいて、駅伝の経験不足が少し目立ったのかなと。トラックの結果が良くても駅伝はまた別なので。他大学の強さも感じましたが、チームの半分ぐらいが力を出し切れない中でも一時トップに立てたので、やってきたことに間違いはないのかなと感じています。あとは今回の経験を活かすこと、箱根で勝つために残りの期間を本気で取り組むことが大切だと思っています」

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箱根の連覇はチームにとって、そして現在の4年生にとって果たさなくてはならない目標なのだとか。

「今シーズンの初めに立てた目標が駅伝三冠でした。出雲駅伝は中止で、全日本大学駅伝は落としてしまいましたが、箱根駅伝の優勝は逃せません。僕ら4年生が1年生のとき、青学の連覇が続くと史上初の7連覇が4年生のときにかかる代だったこともあって、7連覇を4年間の目標として立てたんです。結果的にその挑戦はできないのですが、後輩たちにそれを目指していってほしいので、今回勝って連覇のスタートとしたいなと思っています」

前回の箱根では9区で区間賞を獲得した神林選手の夢は、1区を走って区間賞をとること。

「箱根駅伝の1区で区間賞をとりたいというのは、ずっと追いかけてきた夢で、今でもその気持ちはあります。ただ区間配置はチームの作戦があるので、勝つためならどこでも走ります。今回は自分がチームを勝たせなければいけない、4年生が優勝させなければいけないと感じています。また、新型コロナウイルスの流行で世の中がこういう状況だからこそ、テレビの前で応援してくれる方たちに少しでも元気や勇気を与えられるような走りを、僕個人もチームもしたいなと思っています」

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取材対象者プロフィール:
神林勇太 選手
1998年生まれ、神奈川県出身。
熊本県熊本市の九州学院高校に進学。全国高等学校駅伝競走大会には3年連続して出場。
2017に青山学院大学地球社会共生部・地球社会共生学科に入学し、陸上競技部に所属。
大学1年から出雲駅伝に出場した。2019年大学3年では半年のニュージーランド留学を経て、三大駅伝全てに出場し、箱根駅伝では9区で区間賞を獲得しチームの優勝に貢献した。
2020年度長距離ブロックの主将に就任。 箱根駅伝での連覇を目標にしている。

(取材&執筆:神津文人)

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