adidas Runnersコーチに聞いた、初心者がジョギングを始める上で気をつけるべきチェックポイント

―初心者ランナーがジョギングを始めるにあたり、気をつけておくべきポイントはありますか。こういう人は長続きしないなどがあれば教えてください。

秋葉直人さん（以下、秋葉）：無理にでも毎日走ろうとする人は挫折してしまいます。せっかく走り始めたのだからと、休まず走る人はまず長続きしません。基本的には、きつくなくていいと思うんです。気持ちいいとか楽しいとか、そうした気分で走り続けられるようにするのが一番ではないでしょうか。

―ダイエットや体作りを目的にしてジョギングを始める人ほど、そうした意気込みで走ってしまう人が多いと思います。きつい運動をしないと、やせないと考えてしまうのではないでしょうか。

秋葉：たしかにそうかもしれません。ただ、一時的にきついと感じる運動を行うより、習慣化したほうが効果があるので、やはり長く続けることを意識してほしいです。

―ジョギングを習慣化するにあたり、何かアドバイスはありますか。

秋葉：まずはウォーキングから入ってみてもいいのかなと思います。30分間のウォーキングができたら、次は40分と時間を伸ばしてみる。そして、徐々にジョギングを入れてみるといったように。

ジョギングの途中でウォーキングを挟むことでちょっとした休憩になると思います。それまで運動を全くしていない方の場合、20分間走ることもきついと感じるでしょう。いきなり走り出すのではなく、少しずつレベルアップさせる感覚で始めてみるのがいいですね。

―いざジョギングを始めようと意気込んでいる人にとって、途中で歩くことは、抵抗を感じそうです。

秋葉：ダイエットや体力の向上のためにジョギングを始めるならなおさら、トータルでどのくらい走ったかが重要だと思います。最初はウォーキングを挟みながら始めたとしても、徐々に走れるようになるので、習慣化するための助走だと思っていただければ。

―また、ウェアやシューズをどう選べばいいのか迷う人もいるかと思います。選び方のポイントはありますか。

秋葉：ウェアは冬にウィンドブレーカー、夏には短パンなど季節に合わせたものを選ぶことはもちろん、気に入ったデザインを選ぶことが大事ですね。自分がいいと思ったウェアで走ることがモチベーションにつながります。

シューズに関しては、初心者の方が靴底の薄いタイプを選ぶと足首やひざに負荷がかかるので、それなりに厚みがあって、クッション性のあるシューズを選んでください。軽いものがいいと思って薄底のシューズを選ぶ人もいますが、走るのに必要な筋肉が備わっていない時期には、着地の衝撃をやわらげてくれるような厚みのあるシューズをオススメします。

―ウェアの選び方で季節の話が出ましたが、冬と夏でも気をつけるべき点は異なるかと思います。それぞれポイントを教えてください。

秋葉：夏はやはり熱中症に注意すべきですね。のどが乾いたと自覚したときには遅いので、こまめに水分を補給することを意識してください。また、日中に走るのは気温が高すぎるので危険です。早朝や夜間など比較的気温が高くない時間帯に走るようにしましょう。

冬の場合、気温が低いと筋肉が硬くなり、ケガをしやすくなります。夏でももちろん行うべきですが、しっかりとウォーミングアップとクールダウンをして、入念に準備をすることを心がけてください。

―季節と同様、走る時間帯によって気をつけるべき点もありますよね。朝と夜でどんなことに気をつけるべきでしょうか。

秋葉：朝の時間帯に走る場合、睡眠中は血液の循環が悪く、夏でも筋肉が多少こわばってます。少し早めに起きて、ストレッチをして体をほぐしてからジョギングを始めましょう。

一方、夜走る場合は、暗いために自転車や自動車、歩行者と衝突する危険性があります。常に周りに配慮しながら走ってください。反射材などを身につけて、自分の存在を周りに知らせることも大切です。

―最後に、ジョギングのコースを決めるポイントについても教えていただけますか。

秋葉：初心者の方は、とにかく起伏がなく、平坦なコースを選ぶのがよいでしょう。あとは短すぎる周回コースも景色が変わらないので、飽きてしまいます。例えば、500 mを周回するようなコースではなく、2〜3kmで一周できるコースのほうがいいですね。都内であれば、公園のジョギングコースがオススメです。

初心者が注意すべきチェックポイントをまとめると、以下の通りです。

・毎日頑張ろうとせず、楽しいと感じられる範囲で走る
・ジョギングがきついと感じたら、ウォーキングも取り入れてみる
・ウェアは気に入ったデザインを、シューズは厚みがありクッション性の高いタイプを選ぶ
・夏は熱中症に注意して、こまめに水分補給を
・冬はウォーミングアップとクールダウンを他の季節よりも入念に
・朝走る場合はストレッチで体をほぐしてから走ろう
・夜は反射材などを身につけながら、周りに気を配りながら走ろう
・最初は起伏がなく、平坦なコースを選ぼう

初心者ランナーの方は、これらのチェックポイントを常に意識して、できるだけ長続きさせることを心がけましょう。

取材対象者プロフィール：
秋葉直人さん
adidas Runners Tokyo ランニングコーチ。普段はスポーツトレーナーとして陸上選手を中心にコンディショニングやケガの治療を行っている。また、千葉県で治療院の代表として、市民ランナーなど多くの人のカラダのサポートに従事している。

（取材＆執筆：杉山大祐 撮影：藤原慶 編集：ノオト）