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コンディショニング 2019.8.30

テーピングに頼るのはNG! ランニングで膝を傷めた時の対処法とは?

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ランナーにとって最も怖いのが「故障」。なかでも、膝の痛みに悩む人は多いようです。ランニングやマラソンで起こりがちな膝のけがを防ぐにはどうすれはいいのか? 万が一けがしてしまったら、どのように処置をすればいいのか。「安易なテーピングの使用はやめたほうがいい」と語るadidas契約アドバイザーの中野ジェームズ修一さんに詳しく聞きました。

膝関節を守るためには、周辺の筋肉をバランス良く鍛えること

— 走ることで、膝に負担がかかってしまうのはどうしてでしょうか。

中野ジェームズ修一さん(以下、中野):膝関節は、「大腿骨」「脛骨」と呼ばれる骨がただ上下から合わさっているだけなので、非常に不安定なんです。それでも、なぜ日常生活で壊れずに機能するのかというと、膝周辺にあるたくさんの筋肉で支えられているから。これらの筋肉の柔軟性がアンバランスな状態になると、途端に膝が故障しやすくなってしまいます。

— 「筋肉の柔軟性がアンバランスになる」とは、どういう状態なのですか?

中野:普段からしっかりストレッチを行っていないと、部位によって強い筋肉と弱い筋肉に分かれてしまうんです。そうすると、膝の骨がズレやすい状態になり、骨と筋肉がぶつかりやすくなる。ランニングなどで力が加われば、さらに強くぶつかることになって、痛みを生じます。走った後にストレッチをしてほぐしてあげないと筋肉が硬くなりやすい。筋肉の柔軟性が偏ってしまうんです。

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— ストレッチには膝を守る目的もあったのですね。どんなストレッチが効果的なのでしょうか。

中野:基本的には、「静的ストレッチ」が効果的です。膝関節にまたがって付いている主な筋肉は「大腿四頭筋・ハムストリングス・股関節内転筋群・腓腹筋」など。これらの筋肉の柔軟性がアンバランスになる、つまり硬い筋肉と弱い筋肉が混在してしまうと、膝を痛めやすくなります。
なので、ランニング後には、ももの前・ももの裏・内もも・ふくらはぎのストレッチを普段から入念に行う必要があります。

— なるほど。とはいえ一度膝を痛めると、再び走るのを躊躇してしまいますよね。

中野:それが一番良くないことです。膝を痛めてしまった方の行動は、ほぼ2パターンに分かれるんですが、ひとつは「膝が痛いのは、ランニングに向いていないんだ」と判断してやめてしまうパターン。そしてもうひとつは、サポーターやテーピングに頼ってしまうパターンです。どちらも対処法としては正しくありません。

テーピングはNG! 「膝を痛めない走り方」を考えるべき

— では、どうすればいいのでしょうか。

中野:基本的な指導としては、「痛みを感じたら病院へ行きましょう」ですが、病院に行くまでもないと感じることも多いですよね。その場合は「なぜ痛みが起きてしまったのか?」を考えましょう。
先ほど話したように、膝の痛みは膝関節を支える筋肉の低下が原因なんです。例えば、肩の筋肉量が低下しているのに重たい荷物を背負うと、あとから肩がパンパンに張ってしまう。これと同じ現象が起こっているに過ぎません。では、どうすればいいのか。答えは「筋肉を鍛える」です。

— 痛いからといって、やめてしまうのはダメなのですね。

中野:そうです。ランニングをやめてしまったら、いつになっても十分な筋肉はつきません。筋肉を増やすためには、やめるのではなく、走行距離を短く設定して痛みのないレベルでランニングを続けることも大切です。すべてカットしてしまうのではなく、運動量を減らす。そこから徐々に負荷を上げることで、筋肉をつけていくんですね。

— 根本的な問題を解決することが大事なのですね。一度傷めてしまった箇所については、どのように対処すればいいですか?

中野:アイシングが一番です。やり方は、患部に氷を当て、専用のラップでしっかり固定し、20分間冷やしてください。なぜアイシングが有効かというと、損傷した細胞をできるだけ増やさないことが重要だからです。
一度組織が破壊されて毛細血管が切れると、そこから細胞を破壊され細胞液が漏れ出し、健康な細胞まで破壊してしまう。それを最小限にとどめるためには、冷やして細胞を不活性化することが大事です。きちんと処置をすれば、翌日には細胞は修復されているはずです。

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— 先ほど、テーピングが対処法として正しくないとおっしゃいました。なぜでしょうか。

中野:個人的に、テーピングは賛成しません。テーピングするとしたら、トップクラスの選手がけがを負いながらも、大舞台に立たなければならない時くらい。つまり、靱帯や腱が切れているなど、テーピングで保護しなければ動けないくらいの緊急事態で使うべきものなのです。
比較的安易にテーピングをして走る人もいますが、骨格バランスを崩す恐れがあります。「そこまでして走る必要があるのか?」を考えてほしい。まずはしっかりケアをするなり、テーピングが必要にならないような、自分の体のコンディションに見合った運動量に調整することのほうが大切です。

— おっしゃる通りですね。ランナーにはサポーターを巻いている人も多いですが、それも同様に推奨しませんか?

中野:布製のサポーターにいたっては、あまり意味がないような気がします。そもそも関節を安定させるためには、70ヘクトパスカル程度の力で固定する必要があると言われています。しかし、市販のサポーターや着圧タイツには、40ヘクトパスカル程度の力しかありません。
つまり、効果を期待するほどの関節をサポートする機能を持っていないんです。ですから、テーピングやサポーターに頼る前にアイシングで適切な処置を行い、ストレッチでケアをし、ランニング量を調整して、自分に合った「膝を傷めない走り方」を身につけることが一番です。

取材対象者プロフィール:
中野ジェームズ修一さん
スポーツモチベーション最高技術責任者
米国スポーツ医学会認定運動生理学士
PTI認定プロフェッショナルフィジカルトレーナー

フィジカルを強化することで競技力向上や怪我予防、ロコモ・生活習慣病対策などを実現する「フィジカルトレーナー」の第一人者。2014年からは、青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導も担当。早くから「モチベーション」の大切さに着目し、日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナーとしても活躍を続けている。自身が技術責任者を務める東京神楽坂の会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB 100」は、「楽しく継続できる運動指導と高いホスピタリティ」が評価され活況を呈している。

取材&執筆:波多野友子 撮影:小野奈那子 編集:ノオト

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