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アーカイブ:Forum 'The Money Shoe'

フォーラム・ハイ(Forum Hi)が1984年にデビューした時、小売価格が100ドルのバスケットボールシューズはそれまでなかった。インフレーションを考慮すると2020年時点で、この価格は250ドル相当になる。これだけの金額をスニーカーにつぎ込んでも今日あまり驚かれないが、その当時、100ドル札は1枚でも大金だった。

1984年のロサンゼルス五輪に向けて、adidasはデザインを更なる高みへと引き上げなければならなかった。カギを握るその重要な商品とは、バスケットボール競技大会のための高機能シューズ。adidasが考案したこのシューズは、大会の会場だったカリフォルニア州イングルウッドにある「ザ・フォーラム(The Forum)」競技場にちなんで名付けられた。

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このプロジェクトを任されたのは、フランス人デザイナー、ジャックス・チャサイング(Jacques Chassaing)。1983年の「コンコルド(Concord)」を基に、最新のadidasイノベーションを追加した。ゴム製のシェルソールには、マルチディスク模様のアウトソール、熱可塑性のヒールカウンターを採用。レンドルのテニスシューズ仕様をバスケットボールシューズに落とし込んだ。これにより、足の位置を安定させながら、コート上でのグリップ感、ピボットターンのスピードをアップさせた。ミッドソールには、シューズの内側に見えるポリアミド・ウェブを搭載。この網の目は、衝撃を分散させるクッショニング・システムであると同時に、吸収した衝撃を推進力として利用する効果もあった。チャサイングは、すでにZXランニングシューズモデルにあったインターコラム・サポートを応用して、足首をサポートする試みを開始。この足首サポート機能「クリス・クロス(Criss Cross)」システムで特許を取得した。これがフォーラムモデルの主なセールスポイントのひとつとなり、医療用テーピング機能と同等の効果があると図解入りで宣伝された。また、フック・アンド・ループ(hook and loop)システムを使えば、必要に応じてサポートを調整できるようになった。高級なフル・グレイン・レザーとドイツの大手化学メーカー製のインナー・ライナーで仕上げたこのシューズは、まさに「更なる高み」に達していた。

フォーラムは、あっという間にNBAや大学リーグのトップアスリートたちの間で人気となった。パトリック・ユーイング(Patrick Ewing)も愛用者のひとりだった。彼は、自分のadidasモデルを立ち上げる前にすでにフォーラムを履いていた。しかし、フォーラムは当時しかるべき注目を集めることができなかった。おそらく、プロバスケ界にあった複雑なスポーツシューズ契約のせいだろう。フォーラムを最も評価したのはアマチュアプレーヤーたちで、高額な値札にその魅力は増すばかりだった。高機能シューズでありながら、アメリカ都市部の富の象徴となったフォーラムモデルは、初の「マストハブ」なシューズになり、ヒップホップの広告塔としてその存在感をアピールした。海外展開が始まると、1987年までトップの座を譲ることはなかった。アメリカ版のカタログでは、低価格のトップモデルがリリースされた後も1990年代まで宣伝された。

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