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新谷仁美選手は「ジブンを信じきる」瞬間を目指して走り続ける

2018年に、およそ4年のブランクを経て陸上競技へと復帰した新谷仁美選手。2020年に1月にハーフマラソン(混合)の日本記録を、同年12月には10000mの日本記録を更新。5000mでも2020年9月に自己ベストを更新しています。ますます強さを見せている新谷選手はどのような思いで、復帰を決意したのでしょうか。

「一度陸上競技を引退して、事務職をしていたのですが、どうしてもそこにやりがいを見出せず、何となく日々を過ごしてしまっていました。そして、仕事に身が入らないことに対して、会社に申し訳ないなという後ろめたさがずっとあったんです。とはいえ、当たり前のことなんですけど、生きるためには仕事をしなければいけないし、お金を稼がないといけません。好きとか嫌いとかという問題ではなく、負い目を感じずに、一日一日を丁寧に過ごせる仕事って何だろうと改めて考えたときに、やはり陸上競技が自分の生きる道なのかなと思って、戻ってきました」

しかし、アスリートにとって4年というブランクは決して短いものではありません。復帰への不安はなかったのでしょうか。

「ほとんど不安はありませんでした。復帰するからには世界を見据えてとは思っていましたが、その道を切り拓くには日本一になる必要があります。引退前に世界大会の経験もありましたし、日本一になったこともあったので、2018年当時のレベルであれば、1年あれば戻せるだろう、私だったらいけるだろうという変な自信がありました。もし、復帰のタイミングが、若い選手たちが凄くレベルの高いレースをしている今だったら、少し不安だったかもしれません(笑)」

筋力や心肺機能などはブランクの間に当然落ちてしまっていたものの、一度陸上競技を離れて会社員生活を送ったことの、プラスの面もあると新谷選手は言います。

「一度外に出たことで、社会におけるスポーツとはどんなものなのか、スポーツ選手とはどういった存在なのかということを客観視できるようになったのかなと思います。みんながみんなスポーツ大好き、陸上競技大好きというわけではありません。スポーツ選手は世間からどう見られているか、何を求められているのかというのを少し理解できたようにも思います。ただ速ければいいわけではないことを、しっかりと理解して陸上競技ができているのは、会社員をした経験が大きいのかなと思っています」

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ただ速ければいいわけではない。では、新谷選手はどんなアスリート、ランナーを目指していくのでしょうか。

「スポーツ選手である以上、そしてプロ契約をしている以上、結果を出すということが頭にあります。結果を出すことでチャンスが広がりますし、次の道に進むことができるからです。ただし、スポーツ選手というのは応援してくれる人たちがいるから成立する仕事であって、どんなに結果を出したとしても応援されなければ成立しない仕事です。自分の仕事がどうやって成り立っているのか、どうすれば応援してもらえるのか、スポーツが好きではないという人にも価値を認めてもらえるのか、そういったことを考えたうえで、発言や行動ができる選手でありたいと思っています」

マラソンへの再挑戦を表明した新谷選手。マラソンには長く抵抗感があったものの、さまざまなことがきっかけとなり、踏み出す決意をしたと言います。

「陸上競技の中で最も華があるのは100mとマラソンだと思っているのですが、100mはどう考えても私には無理なので(笑)、自分の価値を高めるためにはマラソンなのかなと。マラソンは過去に3度経験していて、そのときには自分にはマラソンのセンスがないなと感じて、一度は諦めたというか、4度目はないだろうと思っていました。マラソンへの抵抗が小さくなったのは、2020年の1月にハーフマラソンで日本記録を出したときです。私は5000mや10000mのレースを走るとき、最初から最後まで全力で走ってしまうんですが、15分、30分という時間を全力で走るのって、もう恐怖なんです。だから、レースの前は本当に心臓が飛び出るんじゃないかというぐらい緊張してしまいます。でもハーフマラソンを走ったとき、その緊張が少し和らいでリラックスできたんです。それもマラソンに再挑戦しようという気持ちにつながっています」

マラソン再挑戦に向け、ジブンを信じきることができているかと聞かれたら、答えは“ノー”なのだそうです。

「私がジブンを信じきることができるのは、たぶんゴールをして納得をした結果が出せた瞬間だけなんです。レースを走っているときは無心に近い状態とはいえ、“キツいから楽をしてしまおうかな”とか“もうついていけないからやめてしまおうかな”とかっていう気持ちが出てくることがあります。常に自分に裏切られるのではないかと思っているというか、裏切りがすぐそこにある感じがしていて、ゴールをしてようやく自分を信じられるんです」

納得した結果が出せた瞬間だけジブンを信じきることができるという新谷選手ですが、自分の周囲のことを信じきれているから、今はそれで良いのだと言います。

「コーチや私をサポートしてくる人たちのことは信じているし、信用しています。だからこそ継続して練習ができているし、レースのスタートラインに立つことができます。走ることは嫌いだというと、どうして続けられるのかとよく聞かれるんですが、仕事だからというのもありますし、サポートしてくれる人や応援してくれる人がいるからでもあります。嫌いだとか、苦しいといったネガティブな気持ちをかき消してくれるほどのサポートと応援があるから、頑張れるし、力を出せると思っています」

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サポートしてくれる人たちを信じているという新谷選手が、レースや練習で信頼しているのがアディダスのシューズ。

「トレーニングのベースシューズとして履いているのは『SL20』です。練習の7割ぐらいは『SL20』を使っていると思います。短い距離にも長い距離にも、スローペースにもハイペースにも対応してくれて、不整地も走れます。ずっと使い続けたいなと思っているシューズです。『アディゼロ アディオス プロ 2.0』は、マラソンやレースを想定した練習で欠かせません。特にマラソンに向けての練習では助けられています。脚が疲れてきても前へ前へと運んでくれますし、私に凄く合っているなという感覚があります。『アディゼロ タクミ セン 8』は、今はマラソン練習中なので出番が少ないのですが、5000mや10000mを強化したいタイミングで活躍してくれるシューズです」

10000mとハーフマラソンの日本記録を持つ新谷選手が目標としているのは、マラソンと5000mでの日本記録更新。その達成に期待せずにはいられません。

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プロフィール

新谷 仁美 (にいや ひとみ) 1988年2月26日生まれ、岡山県総社市出身。

岡山興譲館高等学校卒、積水化学女子陸上競技部所属。高校3年時のインターハイ3000m優勝、世界ユース女子3000mで銅メダルを獲得。全国高校駅伝ではエース区間の1区で3年連続区間賞を獲得、2005年には全国優勝。高校卒業後は駅伝、トラックレース、マラソンで幅広く活躍。2011年アジア選手権5000m銀メダル獲得、2012年ロンドン五輪5000m/10000m代表、2013年モスクワ世界陸上10000mで5位入賞。2014年に引退を表明するも、2018年に現役復帰。2019年ドーハアジア選手権10000m銀メダル獲得。2020年1月ヒューストンハーフマラソンにおいて1時間06分38秒の日本記録を樹立、12月の日本選手権10000mでは30分20秒44の日本記録を樹立。2021年東京五輪10000m代表。

自己ベスト:5000m 14分55秒83 (日本歴代3位)、10000m 30分20秒44 (日本記録)、ハーフマラソン 1時間06分38秒 (日本記録)

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