ランニング
クッション性と推進力が大事
アディダスストアスタッフに聞く、初心者ランナーおすすめのランニングシューズ
ランニングを始めるとき、まずそろえたいのがランニングシューズ。競技レベルに応じてさまざまな機能性を兼ね備えたモデルが展開されているので、自分に合った一足を選ぶことが、長く、楽しく走り続ける糧になるはずです。
ついついかっこいいデザインに惹かれがちですが、走り初めのランナーこそ、足元をしっかりとサポートしてくれる機能性を持ったシューズが欠かせません。
そこで、「アディダス ブランドセンターRAYARD MIYASHITA PARK」ストアスタッフの松井盟さんに、初心者ランナー向けのシューズ選びのコツや注意点、イチオシのシューズを聞きました。
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最近はどのようなきっかけでランニングを始められる方が多いですか?
- 松井
新型コロナウイルスの影響で外で走るのを控えていたけれど、だんだんと解禁して楽しく走りたいという方が増えています。ジムが閉まっている代わりにランニングを始めたり、リハビリ目的で走ったりする方も多いですね。東京オリンピックを観て「自分も走りたくなった」という方もいらっしゃいました。
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そもそも、スニーカーとランニングシューズで、どのような違いがあるのでしょうか?
- 松井
前に進む力が全然違います。例えば、スニーカーだと自分の力を思い切り出さないと進めないし、硬い地面の感覚が直に伝わるので、膝を傷めることも。
一方、ランニングシューズはクッション性が高く、一歩の着地に負担がかからないのと、前に進む感覚を得られます。走ると自分の体重の約3倍の負担がかかるといわれていますが、それも軽減されます。
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初心者ランナーがシューズを購入するときは、どんな点をチェックすべきですか?
- 松井
一番は自分の足にフィットするかどうか。シューズに足を入れたとき、どれだけストレスなく快適に感じられるかがベストなポイントです。
もう一つはクッション性ですね。走る時間が短かったり、頻度が少なかったり、走るための身体ができていない初心者ランナーがクッションの薄いシューズを履いてしまうと、膝や腰に大きく負担がかかってしまいます。楽しくランニングを続けるためにも、クッション性が高く、より快適な履き心地のシューズをご提案しています。
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フィッティングで来店するときの注意点はありますか?
- 松井
私が接客する店舗は、渋谷のミヤシタパークという場所柄もあり、ヒールやパンプスなどオシャレな服装で来店される女性が多いのですが、自分の靴下を持ってきたり、軽く動いたり走れたりするような服装で来てもらうことをおすすめします。
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松井さんがフィッティングを担当するとき、ヒアリングすることは何でしょうか?
- 松井
走りたくなったきっかけを聞いて、そこからシューズの選択肢を絞っていきます。まず趣味で楽しく走りたい方には、ランナー自身のテンションが上がるデザインや色がはっきりとしたカラフルな見た目のシューズをおすすめします。
ダイエットがきっかけでしたら、走る距離が長くても足への負担が少ないシューズになりますね。「走り始めて20分以降から脂肪が燃焼し始めますよ」と、ダイエットに効果的な走り方も一緒に伝えるように心がけています。
半年〜1年後にレース出場を目指す方だと、それを見込んだシューズになりますし、目標に対してどういった走りをしたいかでシューズの選び方は変わってきます。
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自分に合ったサイズやフィット感を見極めるのに難しさを感じます。
- 松井
特にヒールやパンプスに慣れている女性は、かなりピッタリめのサイズを選びがちですが、ランニングシューズはつま先に1cmくらい余裕があるものをおすすめしています。
指の先までしっかり伸ばし、指先の力を使うことで、足の形や筋肉の付き方も変わってきます。女性は窮屈な靴に慣れてしまっているからこそ、ランニングシューズは指先にゆとりがある状態で、指先をラクに動かせるかどうかを試してもらっています。
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松井さんが初心者ランナーにおすすめしたいシューズを教えてください。
- 松井
最新モデルの「ULTRABOOST 22(ウルトラブースト22)」です。主に初心者からフルマラソンエントリーランナー向けのシューズになります。これからマラソンに挑戦してとりあえず完走したい人から、楽しく走りたいというファンランで参加したい方まで、全般的におすすめできるシューズです。
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「ULTRABOOST22」の特徴は何でしょうか?
- 松井
女性ランナーの足に特化し、120万人以上の女性の足を研究して作られた「女性のためのシューズ」です。女性のかかとに合わせてヒール部分が細目のフィット感になっていたり、甲の部分も低めに設計されたりしています。私も履いていますが、足入れの瞬間からフィットし、包まれているような感覚が一日中続きますね。
ヒール部分にはクッション素材の「BOOSTフォーム」をふんだんに使っていて、クッション性と反発性を兼ね備えた、一歩の踏み出しがしやすいシューズとなっています。BOOSTフォームは衝撃を吸収した分、エネルギーに変わって推進力を生み出してくれるので、筋肉量の少ない女性でもラクに走れます。
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女性ランナーの悩みになりやすい「オーバープロネーション(※)」の対策にも効果的なシューズだそうですね。
- 松井
足が内側に倒れ込み過ぎてしまうと、膝にかかる負担が大きくなり、X脚やO脚、外反母趾にもつながる恐れがあるといわれています。内側に倒れにくいパーツを使ったり、土踏まず部分のフィット感を高めたりすることで、ねじれを最小限に食い止めてくれます。
※オーバープロネーション:足を地面につける際、足首が内側に倒れ込み過ぎてしまうこと
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見た目やデザインもシューズを選ぶポイントの一つです。こだわりはありますか?
- 松井
女性の足の形に沿っているので、真上や横から見たときのシルエットがとても綺麗ですね。カラーバリエーションも紫寄りのピンクやブラック×ピンクなどガーリーな色味が多いので、ファッションに溶け込みやすい、大人っぽいデザインです。
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どんなランナーに履いてほしいシューズですか?
- 松井
ニット素材なので伸びがよく、窮屈なシューズに慣れている方や、外反母趾や足幅が気になる方に履いてほしいです。膝の痛みなどオーバープロネーションと思われる症状が気になる方にもおすすめです。
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実際に履いているランナーからはどんな声が届いていますか?
- 松井
柔らかい、というのが一番ですね。「靴下みたい」という感想もよく伺います。特に今まで細身のシューズを履いてきたランナーは「自然にフィットする」と感動されています。
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シューズの買い替え時期の目安はありますか?
- 松井
毎日履く場合だと、3カ月がシューズ寿命といわれています。ソールが減ってきた、滑りやすくなった、つま先や横幅の素材が薄くなったーなどと感じてきたら、買い替えを検討するのをおすすめします。気に入ったシューズをレースまで長持ちさせたいなら、2、3足を履き回すとよいでしょう。
クッション性が高く、推進力に優れたシューズは、初心者ランナーの土台作りをしっかりサポートしてくれるはず。楽しく長く走りたい、ゆくゆくはレースにも挑戦したいと考えている初心者ランナーの方はこの記事を参考に、最初の一歩を踏み出すランニングシューズを選んでみてください。
(取材&執筆:荘司結有 編集:ノオト)