210912_1250_2.jpg

青山学院大学 原晋監督
「選手たちが駅伝で輝く姿を見てほしい」

連覇を目指した2021年の箱根では、往路12位、復路1位、総合で4位という結果に終わった青山学院大学。昨シーズンは、コロナ禍の影響もあって、さまざまな大会が中止になり、自分たちの立ち位置を測ることが難しかったと原晋監督は言います。

「昨シーズンは出雲駅伝も中止になりましたし、他大学の選手たちとガチンコで競い合うという機会が極端に少なかったので、チームの立ち位置、選手それぞれの現在地を把握するのが難しかった部分はあります。記録会はやっぱり記録会で、実際のレースとは異なります。レースでしか積めない経験、レースを走ることで見つかる課題がありますからね。勝利ボケという表現が適切かはわかりませんが、2020年の箱根駅伝で勝ったムードをどこかで引きずったまま、全日本大学駅伝、そして2021年の箱根駅伝を走ってしまったのかなとも思います」

駅伝で良い走りをするためには、トラックの記録会とは異なる力、“駅伝力”が不可欠だと原監督は考えています。

「1区の選手以外は、自分がどんなポジションや展開で襷をもらって走ることになるかわかりません。追われる状況かもしれないし、追う立場かもしれない。展開を読んで攻めることができる、単独走でも力を発揮できる、区間をマネジメントするといった、トラックでの記録会のタイムには表れない能力が必要なんです。“駅伝男”などと呼ぶこともありますが、駅伝でさらに輝きを増す選手っていうのがいるんですよ」

いよいよスタートする駅伝シーズン。原監督は常に先頭争いをして、チャレンジする姿勢を見せたいと言います。

「1区から先頭争いをして、レースを引っ張る、レースを作る、そしてチャレンジをする。そんな学生たちの姿勢を駅伝ファン、陸上ファンの方々にお届けしたいですね。先頭争いをしてチャレンジした結果が優勝かもしれないし、2番、3番かもしれません。しかし、挑戦を楽しむというのが青山学院大学のスタイルですから、挑む、勝負するということが大切です」

まずは“結(むすび)大作戦”を掲げ、駅伝シーズンの幕開けとなる出雲に挑みます。スピード駅伝とも呼ばれる出雲の魅力を改めて原監督に聞きました。

「各区間の距離が短いこともあって、1年生でも十分に戦うことができるのが特徴でしょう。風の影響を大きく受ける区間もあるので、それに対する戦術も求められます。距離が短いが故に、襷をもらった瞬間に飛び出す選手、ラストスパートでグンとスピードを上げる選手がいるので、スリリングですし、テレビで観ていてもスピード感が味わえるのではないでしょうか」

210912_2320_2.jpg

11月に待っているのは、全日本。出雲が6区間、計42.6kmであるのに対し、全日本は8区間、計106.8km。出雲は最短区間が5.3kmで最長区間が11.3km、全日本は最短区間が9.5kmで、最長区間が19.7km。求められるものがガラリと変わります。

「8区間になり、チームとしての総合力、層の厚さが求められます。距離も長くなりますから、当然個々の能力が試されますし、コンディションも重要です。関東勢にとっては、箱根駅伝に向けて力を試す場でもあります。全日本大学駅伝で駅伝力を発揮する選手が現れたら、その選手は箱根駅伝での活躍も期待できるでしょう」

そして1月の箱根で目指すのは、もちろん王座奪還。青山学院大学の選手たちは、ここまでは順調にトレーニングを積めているようです。

「青山学院大学の監督になって今年で18年目ですが、私が支配するマネジメントではなく、自立を促す育成を基本としてやってきました。自ら考えて行動し、自分が強くなるために必要なことを前向きに実践する学生が本当に増えました。各自に任せているジョグでも積極的に20km、30km、場合によっては40km走る選手がいますし、監督が見ているから走る、見ていないから走らないということもありません。怒る機会は本当に少なくなりましたし、夏合宿もしっかりとメニューを消化できています」

1年生、2年生ら下級生たちのポテンシャルの高さにもワクワクしているそう。

「今年卒業した吉田圭太と神林(勇太)世代が入学してきたときも凄いのが入ってきたなと思いましたが、最近はさらに運動能力や身体能力が高い子たちが増えている印象がありますね。1年生では難しいかなと思うペース設定の練習をこなせてしまって驚かされます。陸上界が魅力的であれば、まだまだ選手のレベルは上がり、進化していくのだと思います」

陸上界を思い、その未来発展のために立ち上げたのが“絆ランニング倶楽部”。市民ランナーからトップアスリートまで、すべてのランナーを対象に、青トレの指導、練習会、記録会、青学駅伝部との合同練習会、原監督の講演会、懇親会などを開催しています。

「市民ランナーの方や、その周囲の方たちにもっと陸上界に興味を持ってもらうことが、駅伝を含め各競技会の価値をさらに上げることになると思っています。多くの人に愛されることが陸上界の社会的評価に繋がるわけですから、トップチームの責任として、市民ランナーとのコミュニケーションを深めていきたいんです」

ファンがもっと応援したくなるような、そして三大駅伝を観た子どもたちが「自分も駅伝を走りたい」と思うような、選手たちの輝く姿を見せたいと原監督は言います。

「力強くスマートで、表情もフォームもビューティフルな、輝きのある青山学院大学の選手たちを、ぜひご覧頂きたいと思っています。子どもたちの憧れの存在になって、青学のアディダスのユニフォームを着たいと思ってもらえるようになりたいですね」

210912_1260.jpg
会員登録すると
10%OFFクーポンプレゼント
iconCross