L1120018.jpg

明治大学 山本佑樹監督インタビュー「全日本3位のチームとして箱根では勝負を挑みたい」

2020年、正月の箱根。総合優勝7回を誇る名門は、シード権獲得を目指してスタートラインに立っていたそう。結果は、終盤まで3位争いを演じての6位。見事にシード権を獲得し、翌年の出場を決めました。
2018年に就任した山本佑樹駅伝監督は、2019年の夏合宿で、チームが力をつけてきているなと手応えを感じていたと言います。

「去年の夏あたりから、トレーニングで選手たちが予定通りのメニューをこなせる、競技会で目標タイムをクリアできるということが多くなってきたんです。選手たちも自信がついたのか、表情が明るくなりましたし、チームの雰囲気も良くなりました。なので、自信を持ってシード権が取れると言える状態で箱根駅伝に挑むことができたんです。きっちりとみんなが走ってくれたので、3位争いを続けることができましたし、想像していたよりもいい流れでレースができました。選手が本当によく走ってくれましたね」

3位争いを続けての6位。次は、いきなり3位を目指すのではなく、しっかりと5位以内に入ることを目標にスタートしたという今シーズン。新型コロナウイルス感染拡大の影響があり、例年とはまったく異なる日々が続きました。

「2月、3月は感染予防の徹底と行動制限をしながらも、状況が飲み込めないというか、正解がわからない状態。今シーズンはもしかしたらレースができないのではとも思いました」

大学のグラウンドでの練習が再開されて以降も、競技会がことごとく延期や中止に。チームはどのようにモチベーションやコンディションを保っていたのでしょうか。

「例年のトラックシーズンはレースがなく、それに向けた目標を立てられない状況でしたが、そこはプラスに捉えていこうという話をしました。レースがないので、そこに向けてのトレーニングや調整を慌てる必要がなくなったぶん、選手には自分を見つめる時間を作って、じっくりと課題の克服に取り組んでもらいました。たとえば、筋力的に弱い選手はウェイトトレーニングの頻度を増やすといったことですね。自分と対話して、何が足りないのかを考えて、時間をかけて取り組んだことは、夏以降に活きてきた印象があります」

  • L1110976.jpg

難しい状況をプラスに捉えてトレーニングを積んだ成果は、駅伝シーズンになって現れます。学生三大駅伝の開幕戦である出雲は、残念ながら新型コロナウイルスの影響で中止になってしまいましたが、その代替レースとして開催された多摩川5大学対校長距離競技会と、トラックゲームズ in TOKOROZAWAに出場。5000m、10000mに出場した選手の合計タイムを競う形式の対校戦で、優勝、準優勝という結果を残しました。

「今年はいよいよ出雲駅伝を走れるということで楽しみにしていたので、やはり中止はショックでしたね。多摩川5大学対校長距離競技会と、トラックゲームズ in TOKOROZAWAは各大学の監督さんとのコミュニケーションから生まれたものでした。対校戦のメンバーに入るかどうかというチーム内の競争があったので、選手の目つきが変わりましたし、出雲のタイミングでどの程度の走りをすることができるのかという確認もできました。いいチャレンジができた対校戦だったと思います」

そして11月の全日本。5位以内を狙って挑んだ駅伝で、出場選手全員が区間一桁順位の好走をして3位に。2021年の箱根へ向けて、大きな弾みとなりました。

「目標は5位以内でしたが、2つの対校戦の結果がよく、その後の練習も充実していたので、3位も狙えるのではないかと思っていました。後半の2つの長い区間に加藤(大誠)と鈴木(聖人)を回す状況が作れたらいいところまでいけるのではという手応えがあったのですが、その通りのオーダーが組めたのが3位になれた要因だと思います。全員が力通りの走りをしてくれました」

全日本で最高に近い走りをして目標を達成したものの、箱根で勝負するにはもう少し頑張る必要があると山本監督は言います。

「全日本で3強と言われていた大学はミスした区間がいくつかあったにも関わらず上位に入っていますし、うちは失敗がなかったのに1位、2位の大学には届きませんでした。チームのレベルをもう一段上げないと勝負できないかなと思っています。ただ、3位というわかりやすい結果が出たことは大きいですし、選手たちの自信になったはずです。走った選手だけでなく、メンバー入りした選手はきちんとコンディションを作れていましたし、箱根にも期待できます」

  • L1120014.jpg

シーズン初めに掲げた箱根で5位以内という目標は変わりませんが、全日本で3位に入れたからこそ、勝負したい気持ちがあると山本監督。前回の箱根を走ったメンバーが多く残っていますが、そこにこだわることはないそうです。

「前回の箱根駅伝が終わったときから、来年同じ区間をそのまま走れると思うなよ、ということをメンバーに言っていました。箱根へ向けた合宿に連れて行く選手の人数も例年より増えて、全体のレベルが上がっているので、区間配置が前回と大きく変わっても問題ないだろうと感じています。目標は5位以内ですが、少しでも上を目指して勝負したいと思っています」

大学特集ページを見るiconArrowLeft

取材対象者プロフィール:
山本佑樹 駅伝監督
静岡県静岡市出身。常葉学園橘高校から日本大学へ進学。1年目は世界ジュニア陸上競技選手権大会5000mで7位入賞。
2年、4年で日本インカレ10000m優勝。箱根駅伝でもエース区間の2区で活躍した。
日本大学卒業後は旭化成陸上部に所属。2006年に現役引退後、同部でコーチを務める。
2017年に明治大学体育会競走部長距離コーチに就任。2018年からは同部で駅伝監督を務める。

(取材&執筆:神津文人)

会員登録すると
10%OFFクーポンプレゼント
iconCross