_81A0080.jpg

カロリーを抑えるのは逆効果になる場合も ランニングダイエットで気をつけるべき食事のポイント

ランニングを通してダイエットを実現したい人が、知っておくべき知識のひとつに「栄養バランス」が挙げられます。いくら一生懸命に走っても、食事の取り方が不適切だと、思うようにダイエットにつながりません。adidas契約アドバイザーの中野ジェームズ修一さんに、栄養の基礎知識について伺いました。

「摂取カロリーを抑える」はNG ダイエットで本当に大事なこと

— ダイエット目的でランニングを始めた場合、食事のバランスについても考える必要がありますよね。

中野ジェームズ修一さん(以下、中野):もちろんです。ダイエットで大事なことは、まず栄養バランスを整えること。「とりあえず摂取カロリーを抑え続ければやせる」と思い込んでいる人が多いのですが、肝は「エネルギーバランスを整える」ことなんです。

— エネルギーバランスを整えるには、具体的にどのように考えればいいのでしょうか。

中野:基本的な考え方は、食事の中で、どれだけバランス良く栄養素をとり入れているか、ということですね。ダイエットしている女性の中には、1日1000キロカロリー以下に抑えている人もいます。
1000キロカロリーは少ないようで、やろうと思えば案外できてしまう。なぜなら、甘くても人工甘味料を使用しているため「カロリー0」といった食品が多く存在しているからです。

— たしかに、ダイエット中は「カロリー0」と表記された食品についつい手を伸ばしがちです。

中野:カロリー0の食品は、当然ながら栄養面が非常に乏しく、そういう食品ばかりを摂取すると弊害が出る恐れも。摂取エネルギーが少ないにもかかわらず、消費しなくてはならなくなった時、人間の体は普段からエネルギーを貯め込もうとします。つまり、体脂肪を蓄えるわけですね。

  • _81A0099.jpg

— 摂取カロリーは少なければ少ないほど、やせるものだと思っていました。続いて、ダイエットに必要な栄養素について、詳しく教えていただけますか?

中野:まず知っておいてほしいのが「三大栄養素」、糖質・タンパク質・脂質です。この3つを必ず摂ること。ダイエット中にタンパク質を減らす人はあまりいないと思うのですが、糖質と脂質ももちろん、完全にカットすることはダイエットにおいてはNGです

—糖質のカットはNGとのことですが、近年では「糖質ダイエット」が流行しています。糖質をカットすると、どんなことが起きるのですか?

中野:体や脳を動かすためのエネルギー源が糖質なのですが、カットしてもすぐに機能が停止することはありません。それはなぜか? 体が飢餓状態になると、体内のタンパク質が糖に換えられるからなんです。筋肉も糖に換えられてしまうため、どんなに運動をしても筋肉量が減ってしまうことも。

— せっかくランニングをしても効果が得られない、と。

中野:そうです。体重が軽くなるため、糖質制限でダイエットが成功したと勘違いする人は多いですが、実は体脂肪はそのままで筋肉が減っていたなんてことも考えられる。そういう人は、糖質制限をやめた瞬間に、筋肉量が減っている訳ですから一気にリバウンドが起こります。本当にもったいないことですよね。

ダイエットに必要な栄養素を補うには、どんな食事がいい?

— 3大栄養素をバランスよく補いながら、ランニングでやせるためには具体的にどんな食事を取ればよいでしょうか。

中野:1食につき、茶碗1膳程度のご飯は必要ですね。それを半分に減らすことで得られるメリットはあまりありません。そして、タンパク質をしっかり摂ること。20代くらいまでは、少ない量のタンパク質で筋肉を作り出すことができるのですが、年齢が上がれば、そうはいかなくなります
「もう40歳を過ぎたし、そろそろお肉を控えなきゃ」と考える人がいますが、実は逆なんですよ。年齢が上がれば、その分タンパク質を多く摂らなくてはいけません

— 意外でした。具体的にはどれくらいの量を摂れば十分なのでしょうか。

中野:目安は、体重1kgに対してタンパク質1g程度。つまり、体重60kgの人は、1日に60gくらいのタンパク質は最低限摂る必要があります。タンパク質を多く含む肉や魚で例えると、だいたい手のひらサイズで約20g分あると思ってください。ですので、それを3食分摂れば十分ということになります。

  • _81A0068.jpg

— 普段の食生活を考えてみると、コンビニのおにぎりや麺類で済ませてしまうこともあり、タンパク質はほとんど摂れていないのかもしれません。

中野:タンパク質を十分に摂るには、3食ともいわゆる「定食」なのが理想ですが……。糖質中心になりがちなコンビニの食品でも、補うことは可能ですよ。サラダチキンでも構いませんし、ゆで卵だったら1つ、牛乳だったらコップ1杯で各6g程度のタンパク質が摂れるので、それらを組み合わせればいいでしょう。

— 意外と手軽にタンパク質を摂ることができるんですね。食事とは異なりますが、最後にもう一点お聞きしたいです。スポーツドリンクは甘いことが気になるのですが、ダイエットには不向きでしょうか。

中野:たしかにスポーツドリンクは甘いので、ダイエットに効果がないという人もいます。しかし、ランニング中に摂取する分においては、全く問題ないと思いますよ。スポーツドリンクの目的は水分を素早く、しっかり体内に浸透させることです。
実は、ただの水よりもある程度糖質が含まれているほうが吸収がいいんです。吸収しやすい糖質の濃度は8〜12%程度だと言われていますが、大抵のスポーツドリンクはその範囲に収まるようにできています。
甘みを感じますが、人工甘味料を使って飲みやすく調整されているだけなので、カロリーはあまりありません。そのせいで太ることは考えにくいですし、むしろ夏場などは、積極的に摂ってもらって構わないと思います。

ダイエットを目的として、ランニングを始める際は、バランスのよい食事も意識しましょう。さて、これからランニングをはじめようとしている方に、アディダスがオススメするランニングシューズが、Solar(ソーラー)シリーズ。

SolarシリーズにはSOLARBOOST(ソーラーブースト)、SOLARDRIVE(ソーラードライブ)、SOLARGLIDE(ソーラーグライド)の3種類の商品があり、どれもクッション性が高く快適な走りを実現するための機能を搭載していることが特徴です。興味を持った方はぜひ商品ページをご覧ください。

Solarシリーズを見る

取材対象者プロフィール:
中野ジェームズ修一さん
スポーツモチベーション最高技術責任者
米国スポーツ医学会認定運動生理学士
PTI認定プロフェッショナルフィジカルトレーナー

フィジカルを強化することで競技力向上や怪我予防、ロコモ・生活習慣病対策などを実現する「フィジカルトレーナー」の第一人者。2014年からは、青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導も担当。早くから「モチベーション」の大切さに着目し、日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナーとしても活躍を続けている。自身が技術責任者を務める東京神楽坂の会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB 100」は、「楽しく継続できる運動指導と高いホスピタリティ」が評価され活況を呈している。

取材&執筆:波多野友子 撮影:小野奈那子 編集:ノオト

会員登録すると
10%OFFクーポンプレゼント
iconCross