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ランニングでダイエットするには? 有識者・中野ジェームズ修一さんに聞く基礎知識

ベストタイムを追い求める人から気軽に街ランを楽しむ人まで、ランナーが走る理由はさまざま。中でも、ダイエットを目標にしている人は多いのではないでしょうか。adidas契約アドバイザーの中野ジェームズ修一さんに、ランニングで使う筋肉やダイエットとの関係について詳しく伺いました。

「筋肉量」と「最大酸素摂取量」を増やすことがダイエットにつながる

— ランニングには、主にどんな筋肉が使われているのでしょうか。

中野ジェームズ修一さん(以下、中野):ランニングは持久系の運動なので、「遅筋線維(赤筋)」が優位に働きます。反対に、ダッシュなど瞬発系の運動で働くのが「速筋線維(白筋)」です。もともと人間はこの2種類の筋肉を50%ずつくらいの割合で持って生まれてきますが、多少の個人差があります。有酸素運動を長くできるほうが、ダイエットに効果的なので、遅筋線維を多く持っている人のほうがダイエットに有利と言えますね

— 生まれ持った筋肉が、その人のダイエットを左右するんですね。

中野:普段から運動しないのに、ランニングを始めてみたら他の人より速く、しかも長距離走れる人がたまにいますよね。そういう人は生まれながらに遅筋の割合が多い可能性があります。あるいはトップランナーを見ると、ほとんど脂肪がなく非常に筋肉質な体型をしている。彼ら彼女らに至っては、遅筋線維が60〜70%くらいの割合を占めていることもあります。

— 遅筋線維を増やすことは可能ですか?

中野:速筋線維が遅筋線維に変わるということはないのですが、速筋線維と遅筋線維の中間的な性質を持つ「中間筋」に変わることはありますよ。そして、純粋に体全体の筋肉量を上げていけば、遅筋線維の量も増えていきます。どちらにしろ必要なのは、持久系トレーニング。筋トレをするだけでは増えません。

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— 初心者ランナーにとっては、そもそも持久系トレーニングが体力的にしんどいという悩みがあります。

中野:ポイントは、「VO2max」を上げること。走り始めの頃は短距離でもきつく感じるのに、だんだん楽になっていくのは、VO2maxが向上するからなんです

— VO2maxとは何でしょうか? 詳しく教えてください。

中野:体重1kgに対して、どれだけの酸素がエネルギーとして供給できるかという、最大酸素摂取量のことを指します。こちらも、生まれつき持っている量が異なるのですが、トレーニング次第で最大20%程度はアップできると言われています。普段運動をしていないようなランニング初心者は、伸び率がほぼ0%からスタートすることになるので、その分VO2maxの伸びを実感しやすい。トレーニングを重ねれば重ねるほど、楽に走れるようになっていくし、日常生活にもいい影響が出ます。駅の階段もスイスイ昇れるようになるでしょうね。

ランニングで「体重を減らすこと」を目標にしない

— ランニングで痩せようと思った時、どのくらいの期間で効果が出ると考えたらいいですか。

中野:最低でも3カ月は継続しないと効果は表れないと言われていますね。1カ月ごとに段階的な変化が体に現れてきます。1カ月目はランニング時の息苦しさがだいぶ楽になり、体力アップが感じられる。2カ月目は自律神経が整い、体温調節がうまくできるようになる。そして、3カ月目でようやく、体脂肪や筋肉量といった数字に表れてくる、といったイメージです。

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— ダイエットの成功といえば、体重の変化を気にする人が多いですが、どんなことを目安にすればよいでしょうか?

中野:肥満の人はさておき、標準体重に近い人がダイエットする場合、体重は急激に減らさないほうがいいと考えています。特に1カ月間で3kg以上減った場合、むしろ失敗です。体脂肪だけを1カ月で3kg減らすのは物理的に無理。2kg以上減った場合、体脂肪だけでなく筋肉量も減っていることになるんです。ダイエットにとって一番必要なのは、筋肉量を増やすこと。理想的なのは、「体脂肪が減って・筋肉量が増えて・体重はあまり変わらない」こと。体脂肪より筋肉のほうが重いので、筋肉を増やした結果、体重が増えてもいいくらいだと思いますよ。

— ダイエットにおいて、筋肉量を気にしなくてはいけないことを知りませんでした。

中野:なぜかというと、人間の体の中で、筋肉ほどエネルギーを多く使う器官はないんですよ。例えば、病気で2週間入院したとします。本来は、免疫力を上げて病原体を攻撃するためにエネルギーが使われますが、筋肉量が多い人の場合、エネルギーが筋肉に使われてしまうんです。なので、病気になった体は自然と、筋肉量を減らすように働きかけます。

— それほど筋肉が使うエネルギーの量は膨大ということですね。

中野:言い換えれば、筋肉量を増やせば、たくさんの量を食べてもエネルギーとしてどんどん消化されます。食べながらダイエットしたいという人にとって、筋肉量を増やすことほど効率的なことはないと言えるでしょう

取材対象者プロフィール:
中野ジェームズ修一さん
スポーツモチベーション最高技術責任者
PTI認定プロフェッショナルフィジカルトレーナー

フィジカルを強化することで競技力向上や怪我予防、ロコモ・生活習慣病対策などを実現する「フィジカルトレーナー」の第一人者。2014年からは、青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導も担当。早くから「モチベーション」の大切さに着目し、日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナーとしても活躍を続けている。自身が技術責任者を務める東京神楽坂の会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB 100」は、「楽しく継続できる運動指導と高いホスピタリティ」が評価され活況を呈している

取材&執筆:波多野友子 撮影:小野奈那子 編集:ノオト

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